トーキョー発のクランプレッグ
大切な家具が邪魔者となった日
当時の私は、好奇心から海外に職を求めるようになりました。そしてそれを決意したとき、多くの家具を処分しなければなりませんでした。大事に扱ってきた家具がその時重荷として感じられるようになり、邪魔なものとなってしまったのです。
渡り鳥のような生活を好むものには、ものを保有するということはナンセンス。常に最小限にものをとどめ、常に何処へでも行けるように常に身軽にいたいと願っています。私もそのような考えを持つようになりました。
今までにありそうでなかったプロダクトの発見
そのような思いを持つようになったとき、1つのプロダクトを知ることとなりました。それが、「FLOYD LEG」。板さえあれば簡単にテーブルを作れてしまうクランプ式の脚。このプロダクトを見た瞬間、大きな興味を抱くようになりました。これは、私の感情だけではないはず。だって、アメリカのクラウドファンディング「キックスターター」で1,395人の支援者から$256,273(約3,000万円)もの金額を集めたのですから。
クランプ式レッグの歴史
もともとクランプ式の脚は、1972年、フランスのアーティス兼デザイナーであるFrançoisArnalが、「serre-joint T9」というクランプ式のテーブルレッグを開発しました。1982年には、フランスのPhilippe Starckが「Les 3 Suisses」というクランプ式のテーブルレッグを製作しています。
これらをオマージュして作られたのが、同じくフランス・パリ発の「TIPTOE」やデトロイト発の「FLOYD」ということになります。
ふと沸き立つ、製作意欲
日本で「TIPTOE」や「FLOYD」を購入するとなると海外からの輸送費や通関などを通すことで1セット3万円ほどになってしまいます。それでも、このプロダクトに魅力を感じていた私は、これをもっと安く作れないかと考えるようになりました。そして自ら設計を行い、カタチにするのを手伝ってもらったのが群馬県にある創業35年の板金屋さん。もともとは、新幹線のパーツ製作などを行っていた精密板金と溶接を得意とする職人集団です。この出会いとクラウドファンディングによる多くの方の支援のおかげで、「noashi」を生み出すことができました。
「noashi」は日本クオリティの基、「TIPTOE」や「FLOYD」と肩を並べるべく、東京や香港、台北などの住居が密集した都市に広げていきたいと考えています。